17回めの観劇 浅草木馬館 劇団美松 特別狂言『桜姫東文章〜桜花繚乱愛憎輪廻』 ラストショー『虹の橋』
この日は、劇団美松改名5周年記念公演でした。
「さくらひめ あずまぶんしょう おうかりょうらん あいぞうりんね」
と読みます。
これ、今年になって片岡仁左衛門と坂東玉三郎の舞台だったものが、シネマ歌舞伎で上映されることになって、私は映画館に行くか迷ってたんですよね。「上の巻」と「下の巻」のあいだがあくので、「下の巻」に行けるかどうかわからなくて諦めたんですが、まさか劇団美松で見られるとは。四世 鶴屋南北が書いたものだそうで、さすがにおもしろいお話でした!
あらすじはまた舞踊ショーの写真と一緒に紹介していきますね。
高僧の清玄(せいげん)は17年前、稚児(寺で働く男子)の白菊丸(しらぎくまる)と愛しあい、心中したけれど、死んだのは白菊丸だけで、清玄は生き残ってしまいました。
二人はお互いの名前を入れた香箱を持っていました。
お取り潰しになった公家、吉田家の17歳の娘、桜姫は生まれつき左手を握ったまま開くことができず、これではまともな将来もないと憂い、出家しようとしていました。
ところが、清玄がお経を唱えると、左手が開きました。その手には香箱が握られていたのです。
香箱に「清玄」と自分の名前が書かれているのを見た清玄は、桜姫が白菊丸の生まれ変わりであることに気づきます。
しかし、桜姫には心に秘めた想い人がいました。釣鐘権助(つりがねごんすけ)という男です。
実はこの男、かつて桜姫の父と弟を殺し、吉田家の家宝「都鳥の一巻」を盗んだ。それが原因で吉田家はお取り潰しになってしまったのです。
それを知らない桜姫は、釣鐘権助に手込めにされ、子どもまで産んでしまったというのに、自分を初めて女にした釣鐘権助のことを想いつづけていました。
じつは釣鐘権助がそのような悪行を働いたのは、当時、桜姫の許嫁だった入間悪五郎が吉田家を乗っ取ろうと企み、命じたからでした。
白菊の生まれ変わりと信じて桜姫と結ばれようとする清玄、桜姫にまだ未練があり復縁を迫る入間悪五郎。しかし、桜姫は小悪党の釣鐘権助を想いつづける……。
それぞれの思いが交錯し、話はどんどん進んでいくのですが、エロティックだったり、サスペンスだったり、ホラーだったりする話のなかで、桜姫に仕える局、長浦と清玄の弟子の残月はこっそり裏で付き合っていて、悪巧みを。この二人が登場する場面はひたすらコミカルで、笑って息抜きの出来る楽しさでした。
あと、桜姫を守る侍、粟津七郎と入間悪五郎の刀を抜いた一対一の戦いは迫力があり、見応えがありました。
とにかく、釣鐘権助なんて小悪党に惚れてしまう世間知らずのお嬢様、桜姫はひたすら転落の道を辿るのですが、愚かなお嬢さんねえ、なんて思いながら見ていたら、最後の釣鐘権助の言葉で心臓を掴まれました。なんという愛の物語。
堕落した桜姫があばずれの口調になりながらも、ときおりお姫様言葉が混じるところなんかもお見事でした。
あとはやはり、清玄と釣鐘権助の早変わりが素晴らしかった。その都度のお化粧直しが大変そうだったけど。それに、何度か使われていた椎名林檎の曲も、この濃厚な物語のイメージにぴったり合っていて良かったなあ。
いやもう、なにより皆さん、熱演でしたね。
2時間40分の長いお芝居で、あいだに休憩も挟まなかったのですが(場面代わりで幕は何度か閉じました)、最初から最後まで夢中になって観ていました。本当におもしろくて。
そして、劇団美松改名5周年記念公演ということで、そのあとの舞踊ショーも素敵でした!
座長のこのお着物は豪華でした!
座長、副座長のこのような特別な出し物も。
暗闇から光って出てくる方も。
そして、ラストショーは虹色の橋を動かしながらの豪華なショーでした。
ラストショーはいつもの6人に天夜叉さんが加わって男性7人で。
合計でなんと4時間40分の長丁場でしたが、最初から最後までパワフルで、ひたすら楽しかったです!
記念品でハンドタオルもいただきました。
あと、大入りで配られたティッシュに入っていた写真が可愛かった。
いつもショーの合間におそ松さんの曲が流れるのですが、そのイメージにぴったり。先の公演でポスターにも使われてますよね。