大衆演劇☆観劇の記録

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46回めの観劇 三吉演芸場 宝海劇団 『帰って来た暴れん坊』 ラストショー『お梶』

 三吉演芸場に宝海劇団を観に行ってきました!

 

 この日のお芝居は『帰って来た暴れん坊』。登場人物は清水の次郎長一家だけれど、ストーリーはそこから逸れて大衆演劇らしくなっているというお話です。けっこう他の劇団でもやっているみたいなので、だいぶ前に作られたお話でしょうね。

 

 では舞踊ショーの写真とともにあらすじの紹介です。

森の石松役の宝海空也さん

 森の石松甲州で敵に襲われ、瀕死の重傷を負ってしまいます。

 そして、子分の石松が殺されたと思い、かたき討ちに来た次郎長は、脚を斬られて大怪我をしてしまいました。

清水次郎長役の宝海大空座長

 そこに、このあたりを取り仕切る親分、黒駒勝蔵が現れます。黒駒勝蔵は石松を預かっている、怪我が治ったら清水に返してやると約束してくれました。

 もともとは富士山を挟んでいがみ合っている仲でしたが、さすがは大親分と次郎長は礼を言い、喜んで清水に帰ります。

黒駒勝蔵役の宝海竜也太夫

 次郎長は脚を引きずって歩くようになってしまいました。

 子分の大政は、弟分の小政に、次郎長親分はもう駄目だ、若い衆もみんな離れてしまった、これからは自分が親分になってく身を引っ張るから、ついて来てほしいと頼みます。

大政役の宝海大心さん

 次郎長親分を裏切れないと小政が断ると、大政は小政を後ろから斬りました。そして、いなくなった若い衆も自分が殺したのだと白状します。

 悔しがる小政ですが、大政に斬り殺されてしまいました。

小政役の宝海蘭丸さん

 一家の親分となった大政は、次郎長の女房だったお蝶までも自分のものにしてしまいます。そして、次郎長は次郎吉と名前を変えられ、大政一家で飯炊きとして働くようになりました。

 そこに、怪我が治った石松が帰ってきます。石松は大政以外の兄弟分がいなくなったことに驚き、次郎長の変わり果てた姿を見てさらに驚きます。

お蝶役の宝海真紀さん

 大政石松の前で次郎長をいたぶり、笑いものにします。怒り、刀を握る石松ですが、もう子分を死なせたくないと次郎長がそれを止めます。

 しかし、次郎長がお蝶の腰巻きまで洗わされていることを知って……。

次郎吉の衣装で口上の宝海大空座長

 ということで、森の石松は18歳の宝海空也さんが演じました。石松というと喋りも動きもキレッキレのおっちょこちょいというイメージがあったんですが、空也さんの石松は、親分や兄弟が大好きで、ひたすら純粋な石松でした。この話にはキレッキレの石松より空也さんの石松のほうが合っていて、その一途さにぐっと来るものがありました。少年のようなハスキーボイスと話し方も科白と合っていて、演じているというよりそのまま気持ちが溢れ出ているって感じがして、心情がストレートに伝わってきました。

 

 あと、個人的には真紀さんの妙にあだっぽい悪女も好きでした。またなにかで悪女役を観たいわーw 他の配役もみんな合ってて良かったです。そうそう、最後のほうの石松と次郎長が刀を渡し合う場面がかっこよかった!

 それと2人、脇役で知らない役者さんがいましたが、演技がうまくて舞踊ショーには出てこなかったから、東映の役者さんとかかな? 人が足りているのでお芝居がなおさらおもしろくて集中できました。

 

 そして、舞踊ショーなんですが……。

宝海大空座長

 最初の舞踊はほぼこの写真ぐらいしか撮れなかった……。

宝海大空座長

 そして2曲目も全員が写っている写真が撮りたかったのに、これぐらいしか……。

 というのも、宝海劇団の舞踊ショーってなんかパターンがないんですよ。今まで観てきた劇団だと曲や踊りが違っていても、たとえば、最初は若手5人ぐらいでの群舞、次は座長が一人で、という流れはいつも同じだったり、だいたいみんな左から右に行って、左に戻って花道を歩くとか、舞踊ショーの中で一回は座長が客席を歩くとか、太夫元が出てきたら次はラストショーとか、そういうお決まりのパターンがあって、次はあれだな、みたいな予想が立つんですけど、宝海劇団にはそれがない!

 なにかと座長がいきなり現れるし、違うところへ行っちゃうし、この日なんか座長が何曲も客席を回るし、もう大変w でも、どうなるかわからない緊張感がたまらなくて癖になるんでしょうねえ、ふふふ。

 

宝海竜也太夫元、宝海大空座長

 こちらは父と息子の相舞踊ですが、途中で父親役が大空座長で、息子役が竜也太夫元になるコントみたいな場面があったりしてw

宝海蘭丸さん、宝海大心さん

 かっこよく決まった蘭丸さんと大心さん!

宝海大空座長

 そこの大空座長が現れるんですが……

 座長と同じ振りを後ろの二人もしなきゃいけないのに、変な動きばかりして……

 わちゃわちゃっとなってましたw

 

 

宝海大空座長

 こんな長い棒を振りながら客席を回ったんですよ! よっぽど自信がないとね。

 そして、3曲ぐらい続けて踊ったのかな。棒は高速でぐるぐる回すし、バック転までして、すごい運動神経!

宝海大空座長

 こちらも客席を回っていてうまく写真が撮れませんでした。ドルチェ&ガッパーナやんw

 

宝海空也さん

 お芝居で主役を務めた空也さんは舞踊でもかっこよく!

宝海空也さん、宝海蘭丸さん

 蘭丸さんと決めポーズも!!

 

宝海大心さん

 大心さんはすらっとしているから、こういう髪と着物が似合いますねえ。

宝海チビ丸さん

 子役さんの舞踊は二人で日替わりだそうです。この日はチビ丸さん。子ども用のお着物じゃなくて、大人の着物がそのまま小さくなってて、もう本当にお人形さんですよね。動くと子どもだからギャップがあって、それもまたかわいい。

 

宝海大空座長

 座長のかわいいパターンの女形。これは今のところ一回ずつだけど、またいつか何度もあったりして驚かされるかもw

 

 そして、ラストショーは『お梶』でした。

 皆さんご存知の『お梶藤十郎』なんですけど、さすがに人気のお話だけあって、場面ごとに合わせたような歌がいろいろ出ているんですね。それを繋ぎ合わせていくと、歌謡ショーになってしまうという……お見事でした!

 台本を持った藤十郎が現れ、男女二体の人形を並べ、ネジを巻きます。

 しかし、女の人形は突き飛ばされ、別の女の人形に。突き飛ばされたのはお梶でした。

 男女の人形が演じるのは、自分たちの姿……。

 悔しさと自分を責める気持ちに苦しみお梶……。

 そして、情念は燃え上がり……。

 ということで、写真ではちょこっとしかお見せできませんが、実際には本当に美しくて、切なくて、素敵でした!

 

 長くなりましたが、ラストショーでお芝居もう一本って感じですからね、この日もボリュームたっぷりで大満足でしたよ!!