48回めの観劇 三吉演芸場 筑紫桃太郎一座 『月夜に泣いた一文銭』 ラストショー『祝い酒』
初日の夜の部に行ってきました。「筑紫桃太郎一座 花の三兄弟」ということで、筑紫桃之助座長、博多家桃太郎弟座長、玄海花道花形の三兄弟を中心とした劇団さんです。
3人の個性はぜんぜん違っていて、言われないと兄弟とわからないかもw
笑顔の多い素敵な座長さんでした♪
とにかく大柄、背が高くて恰幅もいいので迫力がありました!
ふてぶてしさが魅力? 一番下って感じがあまりしないようなw
三吉演芸場に来るのは7年半ぶりということです。ふだんはおもにセンターを回っていて、三吉演芸場みたいな劇場でやることはめったにないそうです。あと、今年の8月で博多家桃太郎弟座長は退団するらしいですね、あらま。
先に写真を出しましたが、この日は最初に紹介も兼ねたミニショーがあって、そのあとがお芝居でした。
お芝居は『月夜に泣いた一文銭』でした。
こちらはちょっとネタ元が複雑なんですが、O・ヘンリーの『二十年後』をもとに有名な脚本家の川村花菱が歌舞伎にしたものを、松竹新喜劇の座付作家である平戸敬二が藤山寛美のために喜劇に脚色した『上州土産百両首』がもとになっているそうです。いろいろな劇団でやっているみたいですが、どこもこの松竹新喜劇版なのかな?
それでは、舞踊ショーの写真とともに、あらすじを紹介していきます。
正太郎は茶店の前で、紙入れを拾ったよと声をかけられました。その顔を見ると驚いたことに、上州でみなしご仲間だった牙次郎でした。
牙次郎は少し頭の足らないところがありますが、正太郎のことを「あんちゃん」と呼び、とても慕っていました。
牙次郎は上州の寿司屋で出前持ちをしていたけれど、寿司を盗み食いしていることに気づかれてクビになり、江戸に出てきたのだと話しました。
そして、もらった給金がまだ残っているからと茶店で正太郎に奢ろうとしますが、財布がありません。じつは正太郎はスリで、牙次郎と気づく前に財布を盗んでいたのでした。
牙次郎もまた正太郎から紙入れを盗んでいましたが、拾ったよと返しています。手癖は残っていても、もう盗みはやらないと決めていたからです。
牙次郎は正太郎に、スリをやめて堅気になってくれと頼みますが、正太郎はスリの親方が許してくれないから無理だと言いました。
それでも、腕の一本か、脚の一本を差し出せば、仲間を抜けさせてもらえるかもしれないと二人で親方に会いに行き、事情を話しました。
なんと親方は腕も脚も取らずに仲間を抜けさせてくれて、持っていたお金まで渡してくれました。しかし、それを横で見ていた兄貴分の三次は、気に入らない表情を浮かべていました。
正太郎と牙次郎はいったん別れ、堅気になって一年後に再会しようと約束しました。二人はそれぞれ紐のついた一文銭を持って、つらいことがあったら月夜にこの一文銭を見て、互いに頑張っていることを思い出そうと誓い合います。
そして一年後、スリの親方と三次が上州の旅籠に泊まりました。そこの板前で、入り婿になることが決まっているという男が正太郎でした。
親方はすっかり堅気になった正太郎に感心し、迷惑をかけたくないからとすぐに旅立とうとしますが、三次は正太郎に金をゆすります。正太郎は親方のためにと五両渡しますが、三次はもっと出せといい、匕首で正太郎の顔に斬りつけました。
正太郎は揉み合ううちに三次を殺してしまいます。顔の傷を隠して逃げながらも、正太郎は牙次郎と一年後に会う約束をしていた山に向かいます。
ところが、そこで待っていたのは、十手を持った牙次郎でした。牙次郎は岡っ引きの小間使いになっていましたが、正太郎を安心させたくて、十手、捕り縄、呼び子の笛を借りて、岡っ引きの姿で待っていたのです。
そして、下手人を見つけたら五十両、お縄にできたら百両もらえると話します。それを聞いた正太郎は……。
ということで、牙次郎はかなり藤山寛美を意識した演技になっていましたが、あの独特の話し方だけでなく、間(ま)の取り方や声の強弱まで完コピしないかぎりは、なかなか笑いに繋げるのは難しいですよね。違う道を探したほうがいいような。
それと原作は20年後、歌舞伎では10年後、松竹新喜劇では5年後だったのを1年後にしたのはちょっと縮めすぎかもしれません。江戸で修業をして、旅籠の板前になって、認められて入り婿になることが決まって、ということなので。
でもでも、ラストは良かったー。ぜんぶ持って行かれた感はありますが、弟座長さんはでかいから、出てきただけで迫力があって、おおーとなりましたw
あとで座長、弟座長も出てきて、三人の口上に。
そして舞踊ショーですが、こちらはなんと言っても三兄弟の女形がそれぞれ素晴らしかったです!!
睫毛も眉毛もパープルで、雰囲気たっぷりの舞いでした。写真じゃ伝わりづらいですが、実物は素晴らしかったです!!
そして、座長の女形はもう、とにかく綺麗で!
時々、吉永小百合に見えてしまったんですが、気のせいでしょうかw
こんな相舞踊もありました。身長のバランスも良くて、かわいいですねぇ。
そして、花形は花魁姿で登場! 迫力の美しさでした。
この方もかわいい顔だから女形が見てみたいですね。お芝居の最中もキョトキョトして初々しかったですw
座長は弟座長とだけじゃなく、花形との組み合わせもありました。
女優さんたちも頑張ってましたよ。この劇団は人数が揃っているのが強みですね。
女優さんたちはみんな芸歴があるのか、お芝居も舞踊も安心して観ていられました。
ラストショーも、まずは女優さんたちから。
ラストショーは『祝い酒』でした。初日ですからね、縁起よく華やかに♪
ビシッと決まってました!
ということで、昼の部の客数はわかりませんが、夜の部は先月とは打って変わって厳しい船出となっていました。ここから3か月が三吉の冬かなあ。なんとか乗り越えてほしいですっ!