大衆演劇☆観劇の記録

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41回めの観劇 立川けやき座 劇団美松 『〈特選狂言〉飢餓海峡』 ラストショー『夏祭り』

 立川けやき座に劇団美松を観に行ってきました。初めて一日で昼の部と夜の部の両方を観たんですが、こちらは昼の部です。

 

 お芝居は『〈特選狂言飢餓海峡』でした。こちらは前から観たかったお芝居なので、今回、観られてよかったです! 原作は水上勉の小説で、三國連太郎左幸子高倉健など豪華な俳優陣による映画が有名ですよね。

 

 それでは、あらすじを舞踊ショーの写真とともにご紹介です。

 昭和22年、青函連絡船の層雲丸(そううんまる)は定時に出港したが、運悪く進路を変えた台風が北海道へ向かい、津軽海峡は暴風雨に襲われた。層雲丸は転覆し、五百人も亡くなる大事故となってしまいました。

 

 同じ日、北海道岩内町佐々田という家に強盗が入り、家にあった現金80万円が盗まれ、放火されて家族4人が亡くなりました。火をつけたのは、復員服を着た髭面の男です。

 

犬飼多吉役の藤川雷矢さん

 函館署の弓坂(ゆみさか)刑事のもとに、新聞記者の加藤が訪ねてきました。弓坂は、乗船名簿に名前がなく、身元のわからない男性二人の遺体があったことを話します。二人は髭面で、頭に大きな傷がありました。

 

 その後の捜査で、三日前、岩内町の朝日温泉旅館に、髭面の男三人が宿泊したことがわかりました。宿帳には「犬飼多吉、他2名」と書かれていました。

 また、浜の漁師が警察だと名乗る髭面の男に船を貸したところ、帰ってこないと連絡がありました。

 

弓坂刑事役の大和歩夢副座長

 髭面の男三人は朝日温泉で佐々田さんと知り合ってお金があることを知り、佐々田さんの家に強盗に入って殺したのち火を放ち、海難事故のどさくさに紛れて漁師の船で下北半島青森県)に逃げた、そして、そのうちの二人は船で殺され、海に捨てられたということらしいのです。

 

加藤記者役の藤川真矢さん

 青森県大湊では、杉戸八重がイタコに頼んで祖母を降ろしてもらった帰りに、復員服を着た髭面の男に出会います。男が腹を空かせているので、握り飯をあげると、男はそのまま八重の後をついてきました。八重は花屋の二階で体を売る娼妓でした。

 

 八重は客となった男の爪を切り、父親の借金と弟たちのために娼妓となったことを話しました。男は「犬飼多吉」と名乗り、自分も貧しい家の出だと話します。

 そして、出て行くときに、「いくらあるかわからないけど」と新聞紙にくるんだ札束を八重に渡します。それはかなりの大金でした。

 

杉戸八重役の松川小祐司座長、舞踊ショーでは犬飼多吉に

 八重は父親に、東京へ行くと話しました。そこに弓坂刑事がやって来て、髭面の復員服を着た客のことを訊ねます。八重は、川内の製材所で働く工藤という男だったと嘘をつきました。

 

 加藤記者のもとに、ある男から手紙が届きました。網走刑務所から仮出所した沼田木島という男が行方不明になったと書かれていました。手紙には二人の写真が同封されていて、それを弓坂刑事に見せたところ、身元不明だった水死体の二人だとわかりました。

 

 沼田と木島、それに犬飼多吉の三人が強盗放火殺人を犯し、犬飼多吉がほかの二人を殺して一人で逃げているのだとわかって、犬飼多吉は指名手配されました。

 

鈴木菜絵役の市川華丸さん

 十年後、犬飼多吉にもらったお金で父親の借金を返し、弟たちも立派に育った杉戸八重は、東京の遊郭で娼妓として働いていました。あの日切った犬飼の爪、それに札束をくるんでいた新聞紙を宝物のように持ちつづけ、犬飼への感謝を忘れませんでした。

 

 回し読みの新聞を届けに来た女将の鈴木菜絵に、来年の3月で遊郭をやめると言われました。政府の意向で仕方のないことです。その先はどうするのと聞かれましたが、新聞記事に目を奪われた八重はこたえません。

 そこには、京都府舞鶴市樽見京一郎という人が三千万円を寄付したと書かれていました。樽見京一郎の写真も載せられていましたが、それはあの犬飼多吉だったのです。

 

竹中役の龍錦さん

 居ても立ってもいられず舞鶴に行った杉戸八重は、人違いだと樽見京一郎に追い払われてしまいます。しかし、そのあとで樽見京一郎の書生、竹中がやって来て、さっきは妻がいたから否定したが、本当は自分が犬飼多吉だから戻ってきてほしい、と樽見が言っていると伝えます。

 

 八重は急いで戻り、あらためて犬飼との再会を喜びます。犬飼はお茶を出してくれますが、八重がそのお茶を飲むと……。

 

東京の刑事、味村役の南雄哉さん

 ということで、まだまだ続けて書きたくなっちゃいますが、ここまでにしておきますねw

 

 テンポもよくて、展開がドラマティックなので、物語にぐいぐい引き込まれ、長いお芝居なのにあっという間に終わってしまいました。薄化粧の松川小祐司座長が美しかったし、訛りも自然で愛らしかったです。がらの悪い関西弁と上品な言葉遣いを使い分ける藤川雷矢さんの熱演も素晴らしかったです!

 

 ちょっとだけ気になったのは、書生の竹中が来た場面は、樽見邸からの帰り道に呼び止められたように見えてしまいましたが、いったん宿に帰って日記を破いているところに竹中が訪ねてくる、としたほうが時系列がわかりやすくなってラストが生きるかなと思いました。

 

 でもまあ、そんなことより、同じように貧しく育っても、人を信じる心を失わない杉戸八重と、人を信じられなくなってしまう犬飼多吉との対比が鮮やかで、見終わったあとも考えさせられました。本当にいいお芝居でした。

 

 そして、ラストショーは『夏祭り』でした。冬なのに、なぜかw

 

 夏祭り、からの……

 タオルを回して激しく踊る、あー夏休み、からの……

 市川華丸さんによるサメの倒し方w からの……

 ふたたびタオルでかっこよく踊る! という楽しいショータイムでしたw

 

集合写真

 というわけで、昼の部は見応えのあるお芝居が観られて大満足でした♪