59回めの観劇 三吉演芸場 劇団花車『二人長兵衛』 ラストショー『赤と黒のブルース』
三吉演芸場に、劇団花車を観に行ってきました。初日の夜の部です!
正直なところ劇団花車さんってイメージ的に男っぽい感じで、ちょっと近寄りがたい感じかな~と勝手に思っていたのですが、実際はぜんぜん違いました!
二代目姫京之助座長はいつもニコニコ楽しい方だったし、姫錦之助座長は横浜橋商店街を盛り上げるような企画もやりたいなんて嬉しいことをおっしゃってくれるし、姫勘九郎座長は真顔でおもしろいことを言う方だったしw、GOD姫京之助さん(頭にGODとついてるのに「さん」付けで呼ぶのは逆に失礼なのかしら?)は偉そうに前に出てくるような方じゃなくて、うしろで息子たちをやさしく見守ってる感じだったし。
普通のおばちゃんなので、座長が劇団員に「おい、おまえ、おもしろいことやれよ」とか無茶振りするような男っぽい劇団の舞台を見るとお尻がモゾモゾしちゃうんですけどw、そんなことはなくて居心地も良かったし、なにより楽しかったです!
お芝居は『二人長兵衛』(ににんちょうべえ)でした。こちらは戦前の古い映画『二人長兵衛』が元ネタですね。映画の主役は尾上紋十郎という方なんですが、この方は映画俳優になる前、たくさんあった伊勢佐木町の劇場の中でも一番大きな横浜喜楽座というところで劇場付の役者さんをしていた方で、当時は「横浜の団十郎」と呼ばれていたそうです。で、話のモデルになった幡随院長兵衛という方は実在した人物のようですが、この話はたぶん創作でしょう。
それでは、舞踊ショーの写真とともにお芝居のあらすじを紹介していきます。
法華の長兵衛親分は、廓で花扇を身請けしたいと申し出ました。ところが店主は、花扇には別に決まった人がいると断ります。
そこに現れたのは、花屋長兵衛という親分でした。花扇の身請け金は五十両、ところが花屋長兵衛は二十五両しか持っていません。それでも店主がこころよく引き受けたのは、シケで魚が獲れず困っているときに、花屋長兵衛がたくさんの魚を届けて助けてくれた恩があるからでした。
納得のいかない法華の長兵衛は花屋長兵衛に斬りかかろうとしますが、廓で刃物を抜けば、おかみから厳しい咎めを受けることになります。
そのことを店主に言われていったん喧嘩は預かりとなり、法華の長兵衛と花屋長兵衛はドスを交換して、後日の決闘を約束しました。
ところが腕に自信のない法華の長兵衛は、花屋長兵衛のドスを刃引きして、斬れないようにしてしまいます。そうとは知らず、交換したドスを返してもらって決闘に挑んだ花屋長兵衛は、法華の長兵衛に斬られてしまいました。
そして、危うくとどめを刺されるところでしたが、闘犬権兵衛親分が通りかかって助けました。
後日、闘犬権兵衛が花屋長兵衛の家を訪ねてきました。闘犬権兵衛は、10軒先にある今より大きな家に引っ越したほうがいいと言い、名前も幡随院長兵衛に変えてはどうかと言います。
そして、花屋長兵衛がこの二つを素直に受け入れると、闘犬権兵衛は花屋長兵衛の子分になると言いました。
法華の長兵衛の子分、たむしが訪ねてきました。幡随院長兵衛の子分、まむしは闘犬権兵衛に、親分に誰か訪ねてきたら、まず自分に知らせろと命じられていたのですが、たむしが持ってきた果たし状を幡随院長兵衛に見られてしまいます。
果たし状を読んだ幡随院長兵衛は一人で行ってしまい、それを知った闘犬権兵衛はあとを追います。
法華の長兵衛と子分たちは、まだ傷の治りきっていない幡随院長兵衛を殺すのは今しかないと手ぐすねを引いて待ち構えていますが、そこには幡随院長兵衛だけでなく、意外な人物がやって来ました……。
ということで、まあ、わりと単純なお話なんですが、最後に白装束で現れた人を見て、そういうことだったのかとわかる面白さがありました。モデルの幡随院長兵衛がもともと武家だったことから来てるんでしょうね。
最初はきりっと強そうな感じで出てきた二代目姫京之助座長が子分たちだけになると、急にへたれキャラになったり、18歳の姫天花さん演じるまむしがやけに強かったりと、笑いどころもあって楽しめました♪
そして、舞踊ショーです!
群舞からスタート! 華やかですねえ。
そして、お楽しみな三人の座長の女形ですが、まずは二代目姫京之助座長です。お着物にはどこかのタワーが描かれていました。東京タワーかと思ったけど、まわりの建物が低かった。
姫乃レオさんはバトンのダンスを! 新体操をやっていらしたのかしら、体が柔らかくて、いろいろな技を決めて見応えがありました。
二代目姫京之助座長は常に表情が明るいですね。蛍さんはお肌ツヤツヤ♪
GODとの親子相舞踊はこれから、いろいろなパターンが観られそうですよね。
わぁ、お着物がシャネルとシュプリームのコラボだ! そんな馬鹿なw
衣装と言えば、この姫海老之助さんの衣装、右袖がバルーンになってて、左袖がプリーツでひらっと広がって素敵でした。この方は格闘家になると評判でしたが、お芝居にも舞踊にも出てましたねぇ。両立できるんだったら、こっちも続けてほしいですよね。錦之助座長の息子さんだそうです。
最近の劇団にしては人数が揃っているから、舞踊ショーも次から次へと見応えがありました。一人の人が渋い曲で踊ったあと、ガラッと変わって明るい曲で元気に踊るってパターンも多かったですねぇ。
二代目姫京之助座長による歌唱もありました。歌詞見ないで歌ってる人を見るのは初めてかもw
そして、ラストショーは『赤と黒のブルース』でした!
これはちょっとビックリしましたね。鶴田浩二ですよ、私が子どもの頃に懐メロで聴いて、昔の人はずいぶんと渋い曲を聴いてたんだなぁと思った曲に乗せて、みんな明るく踊るなんて斬新な感じがしました。
舞踊ショーで使われた曲は他もあんまりよその劇団で使ってないなという曲が多くて、古さが一周まわって新しいみたいなものが多かったですね。不思議な感覚もあって楽しめました。
座長が3人、GODが1人いるから、前売り券もこんな賑やかになってます。主役を張れる人が4人もいるんだから、いろいろ観させてもらえそうですよね!