20回めの観劇 三吉演芸場 劇団花吹雪 『江戸の華』 ラストショー『花』
私にとっては初めての劇団花吹雪、観に行ってきました。
座長さんはお二人。前の座長さんが兄弟でのダブル座長、そのそれぞれの息子さんが座長になったそうで、お名前の桜の字が違っていたりするんですね。
桜春之丞座長、櫻京之介座長に加えて、桜愛之介副座長、桜彩夜華(あやか)さんの4人が中心となって、さらに桜恵介さん、小桜誠さん、それに女優さんたちもいて、人数が揃ってしっかりしたお芝居を見せてくれる劇団という印象です。
で、まずはミニショーから始まりました。
小桜誠さんはドラゴンボールのお着物。背中側にもドラゴンボールのキャラクターが描かれていました。
派手さはありませんが、桜恵介さんの踊りは滑らかできれいでした。
この時点では桜彩夜華さん、なんてきれいな女性だろうと思って見ていました。男性なんですね、びっくり。
そして、お芝居は『江戸の華』。
舞踊ショーの写真とともに粗筋をご紹介。
原典が見つからないので登場人物の名前は適当に漢字などを当てはめますね。
清次郎は大店の長男でありながら、早くに母を亡くし、後妻が産んだ妹のお藤ばかりが可愛がられて、父にまで疎まれていました。
そのつらさに耐えられず、将来に希望も持てず、川に飛び込んで死のうとしていたのです。
そこに火消し「め組」の法被を着たピヨ吉が通りかかり、止めてくれたおかげで死なずにすみました。
ただ、このピヨ吉は名前もふざけていますが、本人もふざけているのか真面目なのか、蹴られただの、投げられただのと大騒ぎで、死のうとしていたはずの清次郎も戸惑ってしまいます。
そこにやって来たのがめ組の頭。事情を聞こうと、清次郎を自分の家へ連れ帰ります。そして、話を聞いた頭は清次郎に、家に帰りたくないのなら、ここで火消しの修行を受けないかと提案します。
あなたなら立派な火消しになれるはずだと励まされ、清次郎はめ組に入ることに。
め組で一番下っ端の水汲み係だったピヨ吉は、ようやく自分より下ができたと喜びます。
ところが一年後、あのナヨナヨとしていた清次郎は火消しとして頭角を現し、頭の次に当たる纏持ちとなっていました。まだ水汲み係のピヨ吉は悔しがります。
そこにお藤がやって来て、母が亡くなり、父も体調を崩して店が厳しい状態になっている、帰ってきてくれないかと清次郎に訴えます。
今はもう清次郎ではなく、め組の清次だと突っぱねて、お藤を追い返しますが、清次郎は迷い、悩みはじめます。
そんなときに、火事の知らせが届き……。
ということで、前半は喜劇、後半は泣かせる人情物という感じのお話でしたが、とにかく前半がおもしろすぎました。
愛之介さんのピヨ吉が最高で、頭のことを「めぇちゃん」と呼び、なにか叱られても「さぁせん」ですませてしまうのですが、喋りだすとテンポが良くて、まあ、よく喋るけど内容もおもしろい。出ているあいだは笑いっぱなしでした。
そして、櫻京之介座長のナヨナヨとした若旦那っぷりも素敵でした。お腹のことを「ポンポン」と言い、ちょっとした段差も怖がるようなナヨナヨぶりで、なにをやっても、いやーんって感じなのですが、思わずピヨ吉を蹴ってしまったり、長鳶(火消しの道具、先に短い鎌のような刃がついた棒)をピヨ吉に刺してしまったりと、二人で大騒ぎしながら笑わせてくれました。
そして、お芝居が終わったあとは口上も前売り券などの物販もなく、休憩に。そのあと、すぐに舞踊ショーでした。
ほとんどのお客さんがファンの方たちだったみたいだから、一つでも多く舞踊を見せようってことなのかしら。初めての私はちょっと口上でお話を聞きたかったかなあという気もしました。
桜春之丞座長はお芝居のときとは別人のような可愛らしい女形に。
愛之介副座長もガラリと変わって格好よく。
歌もありました。この方は、お父さん二人のどちらかかな。
初めて観に来た私にこのグラサン姿で誰なのか判断するのは不可能ですw
舞台から降りて客席を回ったりという場面もありました。
櫻京之介座長のこの舞踊が素晴らしかった! これだけでも見る価値あり。
大きく激しい踊りながらも滑らかで美しさがあって、魅了されました!!
ラストショーは新しく作った衣装だそうで、とってもきれいでした。ただ、春之丞座長の衣装だけキラキラの飾りが少なくて、あとのトークで笑いを誘ったりもしていました。
ということで、お芝居は楽しく、踊りは美しく、楽しませていただきました。もうちょっとお話が聞きたかったなあ、というのと、舞踊で、地味めなお着物で歌詞に合わせて踊るというパターンが多かったのがちょっと退屈かなという気もしましたが、全体としては若めの客層も含めて華やかで素敵な時間を過ごせて、また行きたくなりました!