23回めの観劇 三吉演芸場 たつみ演劇BOX 『明暗一代男』 ラストショー『ひらりと桜』
ずっと楽しみにしていたたつみ演劇BOXが三吉演芸場に来たので行ってきました! 観るのは初めてです。
土曜日の初日は全席が埋まって補助席が出る大入りだったそうで、私は2日目、日曜日の夜の部に行ってきました。
この日はミニショーから始まりました。基本的にはお芝居と舞踊ショーの2本立てでやるみたいなんですが、この日はお芝居がちょっと短かったのか、調節ということで。
ミニショーの最後は小泉ダイヤ座長を中心としたチャンバラコントみたいな構成で、笑って楽しめました。初っぱなから飛ばしてるなあ。
で、そのときに活躍した愛飢男さんは、あとの舞踊ショーには出てこなかったんですが、もっと見たかったです。次に行ったとき、また笑わせていただくのが楽しみ!
そして、お芝居は『明暗一代男』でした。
あらすじの紹介はまたミニショー、舞踊ショーの写真とともに。漢字はわからないので適当に当てはめています。
幼い子どもに引かれて歩く目の見えない老婆。幼い子どもの名前は智也(ともや)といい、老婆の孫です。
そこに竜巻岩五郎(たつまき いわごろう)というヤクザ者の子分たちが現れ、老婆に、借りた金を返せと迫ります。
借りた金は五両。しかし、今では利子が付いて五十両になっているという。そんな大金を返せるはずがありません。
そこに娘のお妙(たえ)と鹿島新太郞(かしま しんたろう)が駆けつけます。鹿島新太郞は老婆たちの家の裏で、寺子屋を営んでいる浪人で、お妙とは恋仲です。
鹿島新太郞は、かならず五十両を貸してくれる知人がいる、その人に会って借りてくるから、七日後の暮れ六つまで待ってくれと竜巻の子分たちに頼みます。
旅立つために鹿島新太郞とお妙が去り、竜巻の子分たちが去ったあと、老婆は智也に、海に石を投げて深さを確かめてくれと言います。自分がした借金なら、自分が死ねば、家族や鹿島新太郞に迷惑が掛からないと思ったのです。
海に飛び込もうとする老婆、そこへ通りかかった侍、藤太郎(ふじたろう)が気づいて止めます。
藤太郎は、なぜ死のうとしたのかと老婆に聞きます。老婆は、息子の妻が智也を産んだあと、産後の肥立ちが悪くて亡くなってしまい、絶望した息子は金を稼ぐために家を出て行き、それきり帰ってこない、と話します。
実はその息子こそ、藤太郎でした。しかし、藤太郎は名乗りません。なぜなら今の藤太郎は、『七化けの藤太郎』と異名を持つ、たくみに姿を変え、ピストルを操る大泥棒となっていたからです。
そして七日後、竜巻一家が待ち構える老婆の家で、約束の暮れ六つを過ぎて、ようやく鹿島新太郞が戻ってきます。しかし、金を貸してくれるはずの知人が死んでいたと話します。
それなら、お妙を自分の店の看板女郎にすると竜巻岩五郎の妻が言い、お妙が連れて行かれそうになります。
そこに駆けつけたのは、明暗と書かれた袋を提げた虚無僧姿の藤太郎。藤太郎と竜巻岩五郎は互いの顔を見て驚きます。二人には過去に大きな因縁があったのです。そしてそこには、本人が知らないまま鹿島新太郞もからんでいたのです……。
ということで、和装でピストルを構える小泉たつみ座長がひたすらかっこよかった! そして、悪役をやった小泉ダイヤ座長の姿にびっくり!! なんともまあ、ものすごい容貌でした。今まで見た悪役の中で一番ひどい姿かもw 落ち武者みたいな左右に下ろした長い髪で、うしろで少しだけ赤い紐を結んであって、髑髏柄の着物で、顔は眉がなくて、うっすらと痣みたいな薄い赤や青が塗ってあって……って言葉で説明してもわかりづらいと思いますが、とにかく凄かったですw
そんなダイヤ座長の竜巻の親分にいちいち言ったことを真似されて、からかわれていた鹿島新太郞役の小泉ライトさんがかわいいというか、初々しくてまたよかったです。
そして口上ですが、たつみ座長が今日のお芝居『明暗一代男』ついて、過去にやったときのいろいろなエピソードなどをお話ししてくれました。
たつみ座長はこれまで写真でしか見ていなかったので、渋い声であんまり喋らないような人なのかなと思ってしまっていたのですが、実際は少年っぽいというか、明るい声でよくしゃべる、楽しく親しみやすい方でした。
で、次が舞踊ショーだったのですが、お芝居では物凄い姿だった小泉ダイヤ座長が美しい女形になって登場! 別人のような変わりように、本当に驚きました。
実物はもっともっときれいで、可愛かったのです。なんてきれいなんだろうと見とれてしまいました。
写真に撮ると、なぜか親戚の津川鵣汀座長〈剣戟はる駒座〉にちょっと似て見えるから不思議なんですが。
たつみ座長がかっこいいからたつみ演劇BOXが観たいと安易に考えていた私は、実際に観るまでダイヤ座長の凄さを知らなかったのです。たつみ座長はなにをやってもたつみ座長としてかっこいいのですが、ダイヤ座長は、ミニショーではコミカルな舞踊が最高に楽しく、お芝居では笑いも誘う迫力の悪役で、舞踊では美しい女形で、と振り幅が大きいというか、凄いエンターティナーだなと思いました。
女形になっても立役でも、なんだか透明感があって、本当に素敵なんですよね。
もちろん、たつみ座長は期待以上の美しさとかっこよさでした!
知的で清潔感があって、大人の色気がありますよねー。似た役者さんが思いつかない、唯一無二の存在です。
そして、二人になるとさらに美しく、かっこよく。背が高いから迫力もあって、才能と見た目に恵まれた兄弟ですねえ。
あと、花形の小泉ライトさんが3回だったかな、一人で踊ったんですが、すごくかわいいというか、素敵な方ですよね。ただ……。
お化粧が地味すぎて顔色が悪く見えてしまうのと、若い子が踊るにしては振り付けが古い感じがして(太夫元とか後見人とかって肩書きの方が舞踊ショーで一曲だけ踊るときのあの感じの振り付け)、けっして悪いっていうんじゃないんですけど、なんか見た目に合ってないというか、もったいないなあと思ってしまいました。
ラストショーは大量の桜の花びらが舞い散って、美しいかったです。
終わったあとの座長二人のトークも楽しかったし、大満足でした! 今月は都合をつけて、なんとかたくさん行きたいと思っています。