大衆演劇☆観劇の記録

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25回めの観劇 三吉演芸場 たつみ演劇BOX 『不知火検校』 ラストショー『華の刻』

 三吉演芸場たつみ演劇BOXを観に行ってきました。

 

 この日は座KANSAI金沢じゅん総座長と金沢かずま副座長がゲストでした。

 

 お芝居は『不知火検校』(しらぬいけんぎょう)です。これが観たくて仕事ぶっちぎって行ったのですよw 『不知火検校』といえば、勝新太郎さんと中村玉緒さんが共演した映画ですよね。さすがに私が生まれたときよりさらに昔の、古い映画なので観ていませんが。

 

 では、あらすじです。

 急な雨に、たまたま一緒に雨宿りすることになった二人。一人は魚屋の富五郎。もう一人は盲目の僧、政の市。政の市はなんと二十五両もの金を貯め、これから故郷に住む父親へ持って行くつもりでした。

 

「富五郎」と「富の市」役の小泉ダイヤ座長

 それを聞いた富五郎は、五両だけ貸してもらえないかと頼みます。実は女房の出産が迫り、精のつくものを食べさせたりしたいと魚を多く仕入れて売りさばこうとしたが失敗して、かえって大損をしてしまっていたのです。

 

 政の市は即座に断ります。それだけでなく、富五郎が自分のお金を盗もうとしているのだと早合点して、大声を出して人を呼ぼうとしました。

 

「政の市」と「生首の次郎」役の小泉たつみ座長

 

 あわてて政の市の口をふさぐ富五郎。そのうちに首を絞め、政の市を殺してしまいます。そして政の市の持っていた二十五両を奪い、ふらつきながらも家へ帰ろうとします。

 

 その途中、産婆がやって来て、富五郎の女房が出産したと告げます。富五郎は喜びますが、一つだけ伝えておかなければならないことがあると言われます。生まれた子どもは目が見えない、生まれつきの盲目でした。

 

岩井藤十郎〈お殿様〉役の金沢かずま副座長

 そして月日は流れ、父を亡くし、母を亡くした岩五郎の息子は、富の市という名になり、検校のもとで修業に励んでいます。とはいえ、要領がいいので師匠の検校には可愛がられますが、ほかの人たちには嫌われています。

 

 なぜなら、富の市はとにかく金に汚く、小狡くて、良心というものを持ち合わせていなかったからです。

 

鳥羽屋丹治役の金沢じゅん総座長

 

 痴話喧嘩をしていた町人の若い男女は富の市に笑顔で止められますが、そのあと一両もの金を騙し取られてしまいます。

 

 癪を起こして苦しんでいた女衒は、通りかかった富の市に按摩をしてもらって楽になりますが、その後、殺されて二百両を奪われます。

 

 五十両の工面に悩んでいた岩井藤十郎の奥方は、富の市にお金を貸してくれると言われて体を許し、あとで騙されたと知って命を絶ちます。

 

猫のおはん役の辰巳小龍さん

 しまいには鳥羽屋丹治という盗人に、按摩に行った先の情報を流して盗みを働かせ、生首の次郎という悪党とも手を組んで、悪事の限りを尽くします。そして師匠まで殺してしまい、検校の座を手に入れます。

 

 不知火検校となった富の市はさらに、豊国が錦絵にするほどの美女、猫のおはんを妻にしたいと考えます。日の本一の権力と財を得た自分にふさわしいのは、日の本一の美女であるべきだからです。

 ところが、おはんに本気で惚れてしまい……。

 

 ということで、富五郎にしても、富の市にしても、最終的には自分がしたことで自分の首を絞めることになるという因果応報の物語なんですが、弱い存在であるはずの盲目の富の市が誰よりも強く、悪知恵と度胸だけで次々と人を陥れていくさまは、どこか痛快でもあり、不快でもあり、なんとも言えない気持ちにさせられました。

 

 それにしても、ダイヤ座長が素晴らしかったです! 迫力があって憎たらしい富の市がどこか哀れにも見えてくる、そんな人間味が滲み出てくるような演技で、腹の底から笑ったり、涙で目が潤んだりといった感情表現に、とにかく引き込まれました。

 

 お芝居そのものも素晴らしくて、普段のお芝居だったら幕が閉じて待たされるところを、奥の薄い幕が閉じたり開いたりして、その幕の前で演じたり、後ろで演じたりすることで場面が展開していき、ほとんど止まることなく、長い物語がテンポよく進んでいきました。

 

 途中でダイヤ座長が三味線を弾く場面もあって、ラストの照明の使い方も効果的で、本当に見応えのある素晴らしいお芝居でした! 

 ほんとに、ほんとに、凄かったー!!

 

小泉たつみ座長の口上

 そして、たつみ座長の口上を挟んで、舞踊ショーでした。

 

小泉ライトさん(中央)

 花形の小泉ライトさんを中心としての、おふざけありの楽しい舞踊から始まりました。やっぱり重いお芝居の後ですから、笑えるのがいいですね。

 

金沢かずま副座長

 金沢かずま副座長のこの衣装は、最初、フードをかぶっての登場でした。レースが華やかで、とってもきれいでした。

 

金沢じゅん総座長

 金沢じゅん総座長の女形は大人っぽく、しっとりと。

 

小泉ライトさん

 小泉ライトさんの一人の舞踊は渋めの着物に、渋めの踊りでした。

 

小泉ダイヤ座長

 きゃー、美しすぎる!! しかも、大好きな椎名林檎さんの曲で、煙管を使っての舞踊なんて嬉しすぎました。

 ちなみに、今日の一番上の写真はツイッター対策で看板代わりに入れることにしたんですけど、こういう写真として失敗しちゃってるものはこれまでなら捨てていたのですが、こういう写真のほうがかえって実物のダイヤ座長の女形を見たときの感動する美しさに近いかなと思って、載せてみました。でもやっぱり技術のない人が何やってもこざかしいだけですね。ホントに写真以上にきれいなんです。

 

「止まって」のポーズ 小泉ダイヤ座長(中央)、辰巳満月さん(右)

 そして、こういうおふざけも。歌詞の中に「飛んで」と「止まって」があるたびに、ポーズを決めていました。楽しい♪

 

小泉たつみ座長

 なんと、たつみ座長も煙管を! この衣装は広げると内側が金色になっていて、とにかく登場したとたん歓声が上がるほど豪華でした!!

 

 それにしても、たつみ座長は一人で踊るときも、群舞のときも、終わったあとに……

 

 こんな感じで、にかっと微笑まれることが多いんですが、なんかちょっとお客様への愛想笑いとも違っていて、私はどうしても「今日の踊りは上手くいったぞ」と脳内変換してしまい、上手に踊れた日に来てよかった、とつい思ってしまうんですが、絶対違いますよねw それにしても、いい笑顔!

 

ラストショー

ラストショーは『華の刻』です。

金沢じゅん総座長、金沢かずま副座長も加わっての美しい群舞でした。

 

集合写真

 ということで、たつみ演劇BOXの『不知火検校』は必見です!!