32回めの観劇 三吉演芸場 たつみ演劇BOX 『旅の風来坊』 ラストショー『桜小町』
三吉演芸場にたつみ演劇BOXを観に行ってきました。
今日もミニショーからでしたよ。
これが本当はミニショーの最後だったんですけどね。なんとも幽玄な印象の群舞でした。
なんか、こういうのを見ると昭和の人は、パヤパヤとか言いたくなりますねw
和たるさんのソロがありました。かわいい! それにしても、小龍さんの娘さんだったんですね、今日になって知りましたw
小龍さんは森の石松でした。目を気にして刀に映してみる仕草をして、すぐに、まあ、いいやという顔をするのが石松らしくて好きでした。次郎長一家のお話なんかも大衆演劇以外では観る機会がなくなりましたよね。
そして、お芝居は『旅の風来坊』でした。
原作は『瞼の母』で知られる長谷川伸の作品だそうです。横浜出身の作家さんですよ! しかも、日ノ出町!! 『瞼の母』もいろいろな劇団でいまだに演じられてますよね。こういう方の作品はもう大衆演劇でしか観られないと思うので、続いてほしいです。
あと、これくらい古い横浜の作家だと、獅子文六とか、大佛次郎なんかもやってくれるといいのですが。大佛次郎の『鞍馬天狗』なんて、もうドラマや映画の可能性はなさそうだから、大衆演劇でお願いするしかないですよね。昔はやってたけど、なんて言われそうですが、横浜には大佛次郎記念館まであるんだから、市が助成金出すとかすればいいのにねぇ。
と話が逸れましたが、あらすじです。
ヤクザの親分、猪ノ五郎七(いのししのごろしち)は、子分のイチと八太郎に、釜太郎を殺すように命じました。釜太郎も子分ですが、留守の間に、釜太郎の妻、お鶴を女郎屋で働かせようとしていました。ところが、その前に自分が手込めにしたところ、すっかり気に入ってしまい、お鶴を自分の女にしようと思い直しました。そうなると釜太郎を殺すしかないと考えたのです。
しかし、待ち伏せしていたイチと八太郎は食事をしているあいだに釜太郎を見逃してしまいました。しかも、その報告をして叱られ、もう一度、捜しに行けと言われた矢先に、釜太郎が戻ってきてしまいました。
猪ノ五郎七はとっさに、お鶴は男を作って出て行ったと嘘をつきます。
釜太郎は、そういうことなら杯を返し、幼い息子の兼松と故郷の会津に帰ると言いました。
猪ノ五郎七は、親分子分の縁を切ることを了承し、釜太郎は兼松を連れて会津に旅立ちます。しかし、後ろめたいところのある猪ノ五郎七は、釜太郎は兼松を知り合いに預けて、自分を殺すために戻ってくるはずだと思い込みます。
やはり殺すしかないと言う猪ノ五郎七に命じられ、イチと八太郎は釜太郎のあとを追います。そして、いよいよ追いついて二対一の殺し合いが始まったとき、野菊を口にくわえたおかしな男がニヤニヤと笑いながら、その様子を見ていました。
男は喧嘩の見物に来たと言い、豆を投げて邪魔をしだしました。せっかく見物に来たのだから、すぐに喧嘩が終わらないようにしているのだと言います。ふざけた野郎だと三人は腹を立てますが、殺し合いに巻き込まれないようにと、目隠しをして木に縛っていた兼松を預かってくれました。
この男はいったい、何者なのか? 女郎屋に囚われているお鶴を助け出し、釜太郎の誤解を解くことはできるのか?
ということで、あとでわかった謎の男の名前は、関戸の佐四郎。何者なのかはわかりませんが、頼んでもいないのに首を突っ込んできて、最後にはハッピーエンドとなるまでお節介を焼いてくれます。その理由が兼松を母なし子にしたくなかったというのは、『瞼の母』同様、長谷川伸の生い立ちから来るものでしょうね。ぐっと来ました。
ふざけた男、関戸の佐四郎を演じるのが口の達者なたつみ座長ですから、八太郎役の辰巳夢有蝶さんや親分役の愛飢男さんに突っ込みまくって、何度も笑わせてくれました。
兼松役のてっちゃん(小龍さんの息子さん)もかわいかったし、辰巳座長を後ろから羽交い締めにしなければいけないのに、手が届かなくてジタバタする愛さんもおもしろかったですw
ただ、口上ではたつみ座長が愛さんについて愛ある厳しいお言葉をおっしゃってましたが、私は最初の場面で、親分の猪ノ五郎七が子分たちに向かって、「妻のおかくが女郎屋を始めたが、客の入りがいまいちで、釜太郎の妻のお鶴を看板女郎にしようと思って、釜太郎に用事を言いつけて留守にさせたが、つい自分が手を出してしまい、お鶴を自分のものにしたくなったから、お鶴を妾にして女郎屋を別に持たせてやりたい、だから釜太郎を殺すんだ」というようなことを長々と話すんですが、いくらなんでも親分が自分のしたことをそこまで正直に話すのも不自然だし、それを聞いた子分たち(釜太郎は兄貴分)が、はい、わかりましたと言うのもどうなんだろうと思ってしまったのですが。あれは子分たちの会話で処理するか、ナレーションにでもしたほうがよかったかという気がしました。
ただ、ふだんは宝良典さんが演じているということなので、印象がまた違うのかもしれません。
で、舞踊ショーですが、まずはお三人の美しい女形です。
素敵なお着物ですよね。なんだろう、秋の草花の模様ですよね。
また見られた、嬉しい、めっちゃかわいいハートのかんざしです!
ダイヤ座長のお着物は緑色が鮮やかで、白い肌に映えてきれいでした。
そして、勇天(はやて)さんのソロがありました! 勇ましく、かっこよく舞っていました!!
紫色が印象的。家紋のところにも、着物の柄にも「辰」の文字がありました。
これは豪華な衣装でしたねー。すっごく重そうに見えるんですが、たつみ座長は軽々と翻していました。本当は軽いのか、たつみ座長の力か技か。
今日は座長二人での舞踊はなくて、小龍さんとたつみ座長の組み合わせでした。これは完全に訳ありの二人ですよねw
肝心の後ろが写ってないけど、小龍さんのこの髪型好きです。昭和のドラマで銀座のママがしていそうなレトロ感がおしゃれ!
ラストショーは『桜小町』でした。
和の美しさ、華やかさが存分に詰め込まれていました。きれいですねぇ。
集合写真は何枚か撮ったんですが、ほかの写真はすべてダイヤ座長の頭の上のところが和たるさんの顔を隠してしまっていましたw