44回めの観劇 三吉演芸場 宝海劇団 『喧嘩屋五郎兵衛』 お面ショーパート1(20面)/剣扇舞
今年初の三吉演芸場です。ちなみに先月は立川けやき座の前売り券1枚残して終了してしまいました。あんまりまとめて買わないほうがいいですね、反省。
ま、そんなことより、三吉演芸場に初乗りで、私も初めて観る宝海劇団ですが、書きたいことがたくさんあるので、さっそく!!
お芝居は『喧嘩屋五郎兵衛』でした。こちらも元は人形浄瑠璃の古いお芝居だそうで、かなりいろいろな劇団で演っているそうです。
それでは、舞踊ショーの写真とともに、あらすじの紹介を。
喧嘩屋五郎兵衛は、『東の朝比奈、西の五郎兵衛』と謳われるほどの大親分ですが、顔の左半分に大きな痣(火傷あと)があるため、女性とは縁がありませんでした。
ところがある日、八百屋の藤助が羽織を着て、表から入ってきます。祭りのときに五郎兵衛に助けられた伊勢屋のお絹という娘が、五郎兵衛に惚れて結婚したいと言っている、この縁談をまとめるためにやって来たというのです。お絹は小町と言われるほどの美しい娘でした。
助けた覚えはなかったけれど、男は顔より心だと言われて喜んだ五郎兵衛は泣いて喜び、この縁談をまとめてくれと頭を下げます。
ただ、どうしても、うまくいくか不安で仕方なかったので、信用できるように証をくれと言いました。藤助は、もし向こうから断られたら自分の首を斬っていいとまで言い切りました。
藤助が帰ったあと、奥から朝比奈藤兵衛が出てきました。朝比奈藤兵衛は別の組の親分ですが、五郎兵衛の兄です。五郎兵衛の縁談を心から喜び、親分さんたちを集めて盛大に祝言を挙げようと言いました。
藤助は女房と一緒に、お絹に縁談がうまく進んでいることを報告していました。そこに、五郎兵衛の子分の亥之介が結納金を届けに来ました。
お絹は亥之介を「親分」と呼びました。なんと、亥之介のことを親分の五郎兵衛だと思い込んでいたのです。
首を賭けてしまった藤助は、今さら断れないと慌てますが、お絹は、顔に痣のあるような人のもとには嫁げないと泣き出しました。
女房に追い立てられ、藤助は酒の勢いを借りて、五郎兵衛に縁談はなかったことにしてくれと言いに行きました。
話を聞いた五郎兵衛は、やはり自分なんかに嫁いでくれる娘はいないのだと嘆きますが、すでに祝言のために親分衆たちが集まり、祝いの品もたくさん届いていました。
五郎兵衛は藤助に、自分はこういう屈辱に慣れているからいいが、せっかく祝おうとしてくれた兄に恥を掻かせるわけにはいかない、お絹に来てもらい、なんとか祝言だけは挙げてもらえないかと頼みます。
祝言のあと、お絹には一階に泊まってもらい、自分は二階に寝て、翌朝すぐに三行半を出す、それで手をうってもらえないかと、土下座をして訴えました。
しかし藤助は、そんなことをしたらお絹が傷物になってしまう、あんたは人間が三分、バケモノが七分だ、だから人間はバケモノとは結婚できないと非情なことを言い放ちます。
五郎兵衛は怒りと悲しみで藤助の首を斬ろうとしますが、そこに朝比奈籐兵衛が現れて……。
ということで、朝比奈藤兵衛が、どうして五郎兵衛が火傷を負ってしまったか、その後の自分たちの兄弟の生き様を藤助に話すのですが、とにかく五郎兵衛がかわいそうで、かわいそうで……。ただ、お兄さんだけは、なにがあっても五郎兵衛に寄り添っていくと心に決めているのが救いでした。
ちなみに、座長の口上によると、よその劇団ではラストで五郎兵衛が死んでしまうそうです。宝海劇団の『喧嘩屋五郎兵衛』を初めて観たお客さんは死なないことに驚くそうですが、子どもの頃から死なない五郎兵衛しか観てこなかった座長は、逆によその劇団の『喧嘩屋五郎兵衛』を観て驚いたそうですw
それにしても、宝海大空座長の五郎兵衛、心情の伝わってくる熱演でした!
そして、舞踊ショーです。これがまた凄かった!!
まずは座長の女形ですが、可愛かったな~♪
こちらも座長の女形ですが、物語性があって……
斬って……。ここでいったん笑いも入れていましたw
斬ったあとのこの表情……。
切ない表情に、ぐっと来ますよね。
大心さんの舞踊では、盛大に花びらが舞う場面も!
三代目はかなり小さいんですが、お面をつけたり外したり、舞台の端に行ったり、花道を歩いたりと、かなり複雑な振り付けを堂々とこなしていました。そして、この表情ですよ、びっくり。
あんまり凄いので、なにもわかってない私は、この子が20面のお面ショーをやるのかと一瞬思ってしまいましたw
本物のお面ショーはこちら! もちろん座長です。
どこから出てくるのか、次々とお面が変わっていくのですが……
ただ変わっていくのではなく、こうやってほかの劇団員さんが黒子になって……
マジックショーのような展開もありました。
そして、この龍のお面は……
火を吹いた!!
お面ショーって、綺麗な顔を見たいのにお面ばっかり被られてもなあ、と思ったのですが……
そんなことはなくて、顔は出まくってましたのでご安心をw
ほかの舞踊でも凄くて……
一人で踊っていても、三人で踊っていても、さらに加わって、こういう物語性の群舞になったり、一人⇒ちょっとだけ相舞踊⇒一人、みたいな感じで繋がっていたりして、とにかく、あいだを開けずに次々と展開されていくので見応えがありました。
そして、ラストの『剣扇舞』では……
斬って……
さらに斬って……
もっと斬って……
斬りまくって……からの
ラスボス登場! みたいなw
座長も踊って……
親子での相舞踊となって……
さらにみんなで踊って……
笑顔が弾けて、まさに完全燃焼でした!!
ということで、お芝居もじっくり観せて、舞踊ショーもたくさん、しかも、『お面ショー』と『剣扇舞』の2つもラストショーがあったようなもので、これをなんとか祭りじゃなくて平日にやっているのが凄すぎますっ。
去年の12月に、横浜より東京の劇場で観劇したほうが満足度が高いって書いたんですが、それは東京だと時間をかなり超過してでも盛り上がるからなんですが、今回観た宝海劇団は時間を延長しなくても、ボリュームたっぷりでものすごく満足度が高かったです!!
内容もいい意味での大衆演劇の古き良きなところにも拘ってて、高い年齢の方でも楽しめそうだし、もちろん躍動感があって若い人も満足できるだろうし、厳しいこの時期の3日目の金曜の夜でもお客さんがけっこう入ってたし、ここはぜひ、宝海劇団には毎年、三吉演芸場に来てほしいなあと強く思ったのでした。
毎日こんな感じなら、満足して帰れること間違いなしです!!!