35回めの観劇 三吉演芸場 桐龍座 恋川劇団 特別狂言『夏祭浪花鑑』 ラストショー『酔歌(ソーラン節入り)』
休演などもあってなかなかタイミングが合わなかったのですが、ようやく三吉演芸場に桐龍座恋川劇団を観に行ってきました!
桐龍座恋川劇団はラストショーと集合写真のみSNSに載せていいということで、ほかの方が載せている写真もたくさん見ましたが、かならず全員が写っているとか、そういう条件はないようなので、それに沿っての写真を載せさせていただきます。
恋川純座長は大川良太郎座長の従弟で、松川小祐司座長が憧れる恋川純弥さんの弟さんですね。こういうポスターの写真とかを見て、31歳という実年齢より上に見える方だなあと思っていたのですが、実物を見たら、ぜんぜん違ってました。
小柄でぷっくりしていて、目がクリクリした齧歯類のような愛らしい顔立ちで、声が高くてよくしゃべる、かわいらしい男の子がそのまま大人になったような感じの方でした。
そして、今日は特別に舞踊ショーが先、お芝居が後ということで、ラストショーと集合写真もお芝居の前でした。
舞踊ショーはかなり渋めでした。皆さん、座長より年上なんですねぇ。座長は女形や実際に煙管を吸っている立役などで、随所に笑いもありました。
子役を除くと、役者さんは座長も含めて男性3人、女性3人の劇団なんですが、なんと今日はお芝居のために、京都から東映の方たちが7人も応援に駆けつけていました! 集合写真の頭に手拭いを巻いた方たちです。
座長の話は噂に聞くとおり面白かったです! 本当に楽しそうに話すから引き込まれますね。集合写真のポーズを決めてるときにも話しだして、皆さん、ずっと片手を上げたままで辛そうでしたw さらに集合写真のあとも座長は一人で残ってまた喋っていましたw
お芝居は『夏祭浪花鑑』(なつまつりなにわかがみ)でした。歌舞伎で有名ですが、元は人形浄瑠璃なんですね。実際にあった殺人事件をもとにして作った物語だそうです。
これが凄かった! と興奮気味ですが、その前にあらすじをご紹介しますね。
浪速(なにわ)で男修行をしてきた団七九郎兵衛(だんしち くろべえ)が帰ってきました。手配をしてくれた姐さんのところへ礼に行くと、妻のおタツに会う前に着替えをして、床屋で髪を整えてきなさいと、新しい着物とお金を渡してくれました。
武家の大鳥佐賀右衛門(おおとり さがえもん)は、妾を欲しがっていました。おタツの父親の義平次(ぎへいじ)は、おタツの妹のおはなを三十両で売り渡す約束をしました。
団七は床屋へ行っていましたが、おはなはその床屋で働いていました。大鳥佐賀右衛門の家来たちが来て、おはなを連れていこうとしましたが、団七が家来たちを追い払いました。
しかし、これで大鳥佐賀右衛門が諦めたわけではありませんでした。さらに、金で雇われた一寸徳兵衛(いっすん とくべえ)というヤクザ者のような男がやって来て、おはなを掠おうとします。
団七と徳兵衛は互いに下馬札を持って戦いますが、騒ぎに飛び出してきたおタツが床屋の「碇床」(いかりどこ)と書かれた看板でそれを押さえつけます。
徳兵衛は以前、食い逃げをしたところをおタツに助けてもらっていました。徳兵衛がもらったお金を投げて、これからは団七の仲間になると誓うと、団七も大事にしていた首かけ札を徳兵衛に渡します。
団七はおはなを姐さんの家に預けますが、義平次は大鳥佐賀右衛門の家来たちを連れて、姐さんの家に押し込み、おはなを連れ去ろうとします。止めようとした姐さんは、義平次に斬られてしまいます。
あとを追った団七は石ころをお金と騙しておはなを逃がし、家来たちを帰らせました。しかし、残った義平次にお金は嘘だったと告げると、これまで受けた恩や不義理を責め立てられて、揉み合ううちに義平次を斬ってしまいます。動揺した団七は、義平次を泥田に沈めて殺してしまいました。
役人たちに追われる義平次、それを助けようとする徳兵衛。その日はちょうど三社祭の日で、賑やかな鐘の音とともに、大立ち回りが始まります。
とにかくこの大立ち回りが凄かった! 団七は役人たちが張る縄を飛び越え、くぐり抜け、梯子で押されて跳ね返します。縄にカツラが引っかかって飛ぶアクシデントがありましたが、とっさの判断で役人たちが梯子で隠し、そのあいだに被り直して拍手喝采でした。
やがて客席に長い縄が渡り、役人たちと団七は客席のあいだを駆け回ります。そこでもまた押して戻しての激しい攻防がありました。
舞台に戻ると役人たちは短い梯子を重ね合わせて水平に持ち上げ、お神輿を支えて担ぐ棒のようになります。その上に団七がすっくと立てば、まるで人間おみこし状態! そこに青い紙吹雪が吹き上がって舞うというド派手なラストでした。
そのテンポの速さと激しさ、舞台と客席を大きく使った迫力に、客席はスタンディングオベーション! 幕が閉じればアンコール!! さらには感動しすぎて泣く人までいるという異様なまでの興奮状態でした。いやー、凄いものを観ました。鳥肌立ちますね。
お芝居のあいだは歌舞伎調の見得を切る場面が何度もあり、7歳の子どもの役をおじさんがやったり、おはなを背負って逃げたら別の人だったりと笑わせるところもあって、本当に見応えがありました。とにかく最後の大立ち回りは観る価値ありです!
ということで、大興奮のまま帰路についたのでした。