34回めの観劇 篠原演芸場 劇団鯱 『仇討ち小金井堤』 ラストショー『人形ケース夢芝居』
篠原演芸場に行って、劇団鯱を観てきました。
前に行ったときにちょっと苦手だと思った篠原演芸場ですが、売店のおにぎりが美味しかったので、だいぶ親近感が湧きましたw
まずは4組(かな?)の相舞のミニショーだったんですが、私の対応力のなさで写真撮りに失敗。みんな目鼻のない真っ白な顔になってしまいました。とほほ。
で、最後の一組だけどうにか撮れました。
松川翔也さんは劇団美松の松川小祐司座長の弟さんで、もともと劇団美松でダブル座長をしていたのですが、今は劇団鯱で修行中だそうです。
華がある方だと聞いていましたが、実物はたしかにぱっと目を惹くし、ダンスがまた軽やかに激しい身のこなしで、さすがでした!
あとから朝陽政次座長が出てきたのですが、なんと松川翔也さんに引けを取らない激しいダンスで、バック転まで披露してくれました。お歳があれなのに(私よりずっと若いけどw)なんと身の軽い方!
そして、お芝居は『仇討ち小金井堤』でした。
これは『お祭り半次郎』という昭和28年の映画が元ネタかなと思ったのですが、登場人物の名前もストーリーもかなり変わっているので、ほかの話と混ざっているのかもしれません。
では、舞踊ショーの写真とともに、あらすじをご紹介していきますね。
お梶という女性が営む居酒屋で、い組の連中が酒を持ってこいと騒いでいました。しかし、親分の寅五郎は何度来ても、まったくお金を払おうとしません。
つけを払わなければ、お酒は出せないと断りますが、それなら勝手に酒を出すまでだと子分たちが店の奥へ入っていきました。
ところが、店の奥には遊び人の、お祭り鴉の半次郎という男がいて、子分たちは蹴散らされてしまいます。
お梶は半次郎を夫だと紹介し、二人で店をやっていくのだと言います。い組の連中は逃げ去ります。
近くの店の仲居が、無銭飲食の男を役所へ連れていこうとしていました。男はまだ若い侍でしたが、盲目のようで、仲居が棒を持たせて引っ張っていました。
半次郎はそれを呼び止め、自分が代わりにお金を払いました。
若い侍の名は、小柳一馬。父の仇を追って旅をするうち、箱根で崖から落ちて怪我をしたのがもとで、目が見えなくなってしまったのだと言います。
半次郎はお梶を呼び、小柳一馬の世話をさせようとします。ところが、お梶が出てきて驚いたことに、一馬はお梶の弟だったのです。お梶は親に決められた許嫁が嫌で家を飛び出していましたが、その後、父が殺されだのだと知りました。
半次郎はお梶にお金を渡し、医者に連れて行って、一馬の目を治してあげなさいと言います。
二人の父が備前岡山池田藩の小柳新左衛門で、仇の名は小森鉄次郎だと知った半次郎は、三ヶ月ほど姿を消します。そして、戻ってきたときには侍の姿になっていました。
半次郎は、じつは自分も侍で、取り立てられて武士に戻ることになった、お梶と別れて一人で行くと言います。そして、備前の名刀をお梶に渡し、仇討ちのときに使えと言います。
目が治った一馬のもとに、果たし状が届きます。差出人は小森鉄次郎で、小金井堤で決着をつけようということでした。
しかし、一馬は刀がないことに焦ります。お梶は半次郎に託された刀を一馬に渡します。目の治療代も、刀もくれた半次郎に、一馬は深い恩義を感じます。
小金井堤へと向かう一馬。見送ったお梶はそのあとに届いた手紙で、半次郎が小森鉄次郎だったことを知ります。半次郎は死ぬつもりでした。お梶はあわてて一馬のあとを追います。さて、どうなってしまうのか……。
ということで、悲劇かと思って観ていましたが、意外にもハッピーエンドでした。そうだよなーと納得して、笑顔で拍手できるラストでよかったです。
それにしても、朝陽政次座長はイケボですねー、すごくいい声。ちなみに、渋い表情で話していますが、お昼ご飯のおかずが美味しくて量も多かったから、芝居の前の松川翔也さんとのダンスでなんか出そうだったという内容ですw
そのあと出てきた方々です。
兜蛇々丸さんは脚の怪我で療養中ですが、お芝居と舞踊ショーのあいだにトークコーナーがありました。
はまじゅんやさん(字がわからないのですが、「葵じゅんや」というお名前も使っていたそうです)は前にいた方で、今は辞めてほかの仕事をしているそうですが、今日はたまたま遊びに来て、なぜかお芝居にも舞踊ショーにも出ることになったそうですw
それでは、舞踊ショーの様子を。
若さが弾けてますねー。座長も含めて役者さんは男性6人(今日はもう1人)、女性2人なので、芝居もきっちり成立してるし、舞踊ショーも次々と出てきていました。
座長の女形もありましたよ。
こういう格好いいのも。夜は食べないようにしているとおっしゃってたので、かなり節制してるんでしょうね。しっかり動ける座長さんです。
遊びに来たはずのはまじゅんやさんも登場。いきなりでも踊れるんですから、身に染みついてるんでしょうね。お芝居では寅五郎の子分役でした。先月も別の辞めた方が遊びに来ていたそうで、居心地のよさそうな劇団です。
こちらは連続で。まずはこの二人が登場したあと……。
若座長が女形で登場。そして三人で踊り出したのですが……。
天馬さんを嫌う演技の若座長。
それにしても、後ろにいる人の顔がすごいことにw
そして最後にはなぜか天馬さんが脱がされてしまいましたw
獅子丸若座長はこういう格好いい衣装もありました。もっといいポーズがたくさんあったのに、写真がいまいちでごめんなさい。
見づらいですが、翔也さんのこちらもかっこよかったです!
目からかなり離れた位置に細眉を描くのは、顔がのっぺりして見えるからやめたほうがいいかもしれませんが。
そして、ラストショーの『人形ケース夢芝居』!! これが本当に、本当に素晴らしかった!!!
まずは三つとも幕が閉じたセットの、右側の幕が開きます。
すると、『曽根崎心中』と看板があって、人形のカクカクとした動きをする二人が。
一人が出てきて、悲しい心情を訴えます。出てきたときには普通の動きができます。
もう一人も出てきて、二人も踊ります。二人とも普通に動けるようになっているのですが、やがて引っ張られるように箱へ戻っていき……。
また箱の中の人形になってしまいます。
次に左側の幕が開きました。看板には『梅川忠兵衛』と書かれています。
同じように一人が出てきての科白のあと、二人で踊りだしますが……。
また引っ張られて箱へ戻り、人形の動きになってしまいます。
そして、最後に真ん中の幕が開き、看板には『お梶藤十郎』と書かれていました。
悲しみを訴える科白のあとに二人の舞踊があって……。
全員が出てきて踊り出します。
しかし、またもや箱に引き戻されて、人形の動きになってしまいます。
ぴたりと止まったところで、赤い紙吹雪が舞いました。
なんて切なくて美しく、そして豪華なラストショーなんでしょう!!
芝居好きのすべての人たちに捧げられたようで、こんな凄いものを普通の日に見られるなんて贅沢すぎると思ってしまいました。
正直、お芝居と舞踊ショーまではちょっと粗いかなぁ、なんて思ってたんですが、このラストショーで覆りました。素晴らしすぎる!!
どこかでまたやるときは絶対観たほうがいいですよ、このラストショー!!!
ということで、かなり興奮気味に帰ったのでしたw